ヒトメタニューモウイルス感染症
ヒトメタニューモウイルスは呼吸器感染症を引き起こすウイルスです。子どもの呼吸器感染症の5~10%がこのウイルスが原因と考えられています。
今、子どもたちの間でこのウイルスの感染が相次いでいます。
このウイルスは以前からあった風邪のウイルスですから怖がりすぎる必要はありません。
どんな症状?
咳やくしゃみで吐き出されたウイルスが付いてしまったり、気がつかないうちにウイルスに触れてしまったりすることで感染します。4〜6日の潜伏期間の後、咳や発熱など風邪の症状が出ますが、普通は1週間程度でよくなります。しかし、中には重症化して入院治療が必要なこともあります。
2歳までに約半数が、遅くとも10歳までに全員が一度は感染します。ただし、1回の感染では免疫ができないので、何度か繰り返して感染しますが、年齢が上がるにつれて徐々に免疫がつき、症状が軽くなってきます。
診断
症状だけでは診断できません。最近、迅速診断キットが発売されました。鼻汁を鼻咽頭から綿棒でこすった後、5~15分程度で鑑別できます。
感染の流行を防ぐためにはウイルスの鑑別を行うことも大切なので、検査を勧めることもあります。
治療
残念ながら、ヒトメタニューモウイルスの特効薬はありません。症状を楽にするための対症療法を行います。
まず、水分と栄養をしっかりとり、ゆっくりと休みましょう。症状が辛いときは、咳や鼻水を抑えたり、熱を下げたりするための薬が出ることがあります。
このウイルスに感染し、熱が4日以上続く場合は、細菌にも感染している可能性があり、その場合は、抗菌薬が必要となります。熱が長引く時はもう一度早めに受診しましょう。
感染予防
保育園・幼稚園などでの集団感染に注意が必要です。対策としては、
① こまめに手を洗う
② 咳やくしゃみが出るときはマスクをする
を徹底しましょう。