下痢の時の食事
下痢症は、基本的な栄養状態、衛生環境によって体への影響は全く違ってきます。今の日本において、下痢で悩むのは乳幼児がほとんどです。学童期以降では細菌性下痢症と過敏性大腸炎は長引きますが、他の場合は食事に注意するだけで自然に治ることが多いようです。
乳幼児の下痢
細菌性下痢症(カンピロバクター、サルモネラ、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌など)
6月から9月に多い食中毒に関係する下痢で、鳥肉、豚肉、生卵由来と動物からの直接感染があります。予防として生での摂取はやめる、手洗い、食器洗いの徹底などがあります。生臭いにおいのする便で、血便がみられることも多く、早く医療機関を受診し、抗生物質などの投与を受けます。
ウイルス性下痢症(ロタウイルスなど)
冬の白色便性下痢症が有名です。嘔吐を伴うことが多く、治りにくい下痢なので、初めの水分の与え方や食事療法がとても大事です。
かぜによる下痢症
かぜの症状(咳、熱、鼻水など)があり、下痢は軽く整腸剤ぐらいでなおります。抗生物質による下痢もあります。
吸収不良症候群(二次性の乳糖不耐症が多い)
急性の下痢に引き続きだらだらと下痢が続くことがあります。すっぱいにおいのする便が出てきます。牛乳やミルクに含まれる乳糖はラクターゼで分解されてから吸収されますが、下痢で腸の粘膜がはげおちて一時的にラクターゼが少ないと下痢になってしまいます。ひどくない場合は、粉ミルクはそのままでラクターゼを足したり、離乳食を多くしたりしますが、下痢の回数が多い時はラクトレスなどの無乳糖ミルクを数日飲ませたりします。
下痢の時のおしりのケアについて
赤ちゃんのおしりはすぐに赤くなります。こまめにオムツを替え、うんちのたびにおしりを洗います。ふきとるのは意外と刺激が強くヒリヒリするので洗った後はおさえるようにして水分をとるのがコツです。尻湯は、洗面所で簡単にすませてください。
水分、電解質の補給
下痢が軽度なら、うすめのほうじ茶、麦茶で充分です。下痢の量や回数が多い時は、あまり冷たくない経口電解質液が良いと思います。スポーツドリンクは塩分が少ないので好ましくないのです。できれば薬局に置いてあるオーエスワンやアクアライトORSなどが望ましいです。
消化が良く、大腸への刺激の少ない食品を選んで与える
繊維の多い食品はひかえる
便秘とは反対で、たけのこ、海藻、ごぼう、豆、コンニャクなどは避け、イモ類もできれば裏ごしして与えます。胚芽米や豆類は発酵しやすいのでひかえますが豆腐は大丈夫です。
油脂、炭酸飲料、糖度の高い品も少なめに
腸をやせさせないためにも、たんぱく質、ミネラルなどは必要ですが、腸管を安静に保つために刺激の強いものはとらないようにします。卵やとり肉の脂身の少ない部分が良いと思います。
りんごもジュースより本物を
濃縮されているジュースは糖度が高いのであまりお勧めできません。できればすったリンゴかしぼり汁を与えて下さるのが理想的です。
野菜スープ(特ににんじんを入れて)も効果があります
カリウムを補うのに、じゃがいも、にんじん、たまねぎなどのスープの部分にうすめに塩味をつけ、そのまま飲ませるか、おじやにすると治療食として効果があります。慢性的にお腹の弱いお子さんにも野菜スープ(うす味のみそ汁でもよい)はおすすめです。
くずゆ、ゼリー
調子の悪い時は、口当たりも大切です。下痢の回数が少ない時は、くずゆ、ゼリーを使ってみて下さい。
腸管(腹部)の保温も大切です
昔から、お腹を冷やさないようにと言われているのは正しい治療法です。アイスクリーム、シャーベット、氷水などは与えず、タオルなどをお腹にかけて休むことも必要です。下痢している時は扇風機や冷房のかぜが直接体にかからないように気をつけましょう。